終わりは、始まり
アイナ・ジ・エンドさんの記念すべき1stアルバム！
「THE END」がついに発売！！
率直に言って！！！
最高だった！！！！！
… …
最高に頭の悪い書き出しですが、本当に心の底から思う。素晴らしい作品だったと…！
心の内や友人、日常をテーマに、距離感の近い曲が多く収録されている。飾らずに等身大な自分をこれでもかと曝け出していて、アイナ・ジ・エンドという人間をより身近に感じることのできる一枚になっていた
優しく繊細に歌い上げたかと思えば、気だるく大人びたスモーキーさで心を掴んできたりと、異なる表情をコロコロと見せる様は、聴いていて非常に面白い。BiSHのアイナ・ジ・エンドとは明らかに違って、本人の人柄が滲み出た素朴な楽曲たちが揃っている。ファンはもちろん、アイナさんを知らない人も、どうか聴いて欲しい
「THE END」という名の、彼女の始まりの1枚を！
1.金木犀
とても儚くて美しい曲
一曲目にこれを持ってくるのにビックリした
長所のない私です
歌い出しから切ない。そして辛いほどに解りすぎる一節
言葉と曲の温度感が見事で、金木犀が揺れる頃のあの肌寒さが伝わってくる。心も体温が恋しくなるこの時期は、不安や寂しさに似た感情が押し寄せてきて、自分がどうしようもなく惨めに感じたりする。季節って不思議だ
影 影
このフレーズはメロディがすごく意外だった。こう来るんだ！？みたいな。不安定な季節と心を同時に表している気がして、秀逸だなと思った
しかし、この曲はただ寂しいとか悲しいで終わる曲ではない。そんな感情を三拍子で紡いでいくことで、金木犀の香りのような甘く優しい部分も感じさせてくれる
自分に自信が持てなかったり好きになれなかったりする人、そして失恋した人に聴いて欲しい曲だと感じた
音楽だけはそばに寄り添ってくれる
2.虹
「虹」という衝撃
今までタイトル「虹」で、こんなにもドロドロとした曲あっただろうか。色んな意味で衝撃を受けた。しかも構成が全部Aメロて。それでこんなに怖カッコいいんだから、もう鳥肌
心が透明で澄んだ人ほど、先に逝ってしまう。そんな嘆きや怨みつらみが突き刺さる。一方でそんな人を救いたいという思いが、怖いくらいに響く。曲の形をした情念とでもいうべきか
トカトントン聞こえてる
姿形匂い内蔵 貴方に全部あげる
トカトントン聞こえない
貴方が目を覚ます 私にキスをする
「虹」には、様々な感情や思いが込められているのかもしれない。そして透明な「貴方」と同様に「虹」も儚い存在。希望や憎悪など複雑なものが見え隠れする、確かな名曲である
3.NaNa
「あの人」への想いを書いたラブソング
小松菜奈さんへの妄想大爆発！ こういうの大好きだわ…
ラテンジャズロックとでもいうのだろうか、曲調がセクシーかつカッコいいものになっている。歌詞もかなり情熱的である
潤うんです日々日々
ららららんららラブリー
二人でお風呂に入ろう
妄想のミサイル
メチャクチャ恥ずかしいだろうなあ…笑
赤裸々で最高。人はこういうの隠すけど、みんな1つや2つはあるはずだ
膨らむのは瞑想瞑想
だったり
妄想のミサイル
妄想のミサイル
妄想のみ冴える
と、言葉遊びも面白い。「妄想のみ冴える」がとても好き。妄想ってボンヤリするものだと思ってたけど、冴えるほどというのが愛を感じる
しかし「虹」といい、この曲といい、第二の椎名林檎を感じずにはいられない。もちろん全く違うものではあるが！ 個人的に悶えまくりポイントでもあります
4.粧し込んだ日にかぎって
切なく苦しい。それが愛
アイナさんが、自殺未遂してしまった友人を想って作った曲。愛と希望がとても生々しい言葉で綴られている。こんなにも人を想うということは、切なく苦しいのだと、改めて思った。どれだけ想っても伝わらない時もある
友人という身近な人物へ宛てたものであるが、同じような人の人生を救えるかもしれない、嘘偽りのない想いがこもった曲だ
個人的にAメロの少しスモーキーな歌声と、それに寄り添うかのようなベースが琴線に触れる。ビリビリビリッ最高…
ちなみに動画では弾き語りをしてますが、鍵盤をステージ、指を身体と捉えて、ダンスのようにピアノを練習しているそうです
そしてその感性に脱帽
5.ハロウ
長所のない私…それは勘違いかもしれない
右利きと思い込んでるけど、本当は左手も自由に使えるかも知れない。自己評価の外側にこそ、何か才能があるかもしれない。そんな風に思わせてくれる希望のような曲だ
慣れない左手で何かをするのは勇気がいる。でももしかしたら左手こそ利き手かもしれないし、両手が使えれば可能性が拡がる。ミクロなようでマクロな視点の発見
6.きえないで
少女のようで、大人のような。純粋な想い
可愛いし綺麗で大好きだ。2018年に発売された曲だが、アルバムのために作ったかのようにカッチリとハマっている
アイナさんは「THE END」についてのインタビューで、ありふれた曲しか書けないと言っていたけど、全然ありふれてないと思う。構成もA→B→サビのような典型的なものばかりでないし、この曲もその代表例といえる
星のないプラネタリウム
音が出なくなったギター
味のないたらこパスタ
あなたのいない夜
この何気ない言葉たちは、五感を踏襲して表現しているし、アイナさんらしさもあって好きなフレーズだ
7.日々
日常は、特別な日々の連続
こんなん泣いちゃいますって…。クレしんでも、ひろしの人生見てるだけで泣けるでしょ？ あの原理ですわ…泣
ありふれた唄でもそう 君との魔法で
特別な唄に変わる なんか良かったなぁ
あぁ会えないよな あぁ眠ろう
君との日々こそ、
振り返れば特別なんだよ…
「なんか良かったなぁ」って、心がちょっとだけ温度上がるのって、幸せなことなんです。だから毎日何か感じて生きていきたい
そしてこの曲のアレンジが神がかってる。ひたすら8分を刻むピアノは淡々と進む日々を感じるし、ちょっとノスタルジックなドラムの音色が物語の過去を想像させてくる
優しくて温かくて、ずっと聴いてられる曲かもしれない
当初は、アルバムに収録しない予定だったらしいけど、これを聴いてしまうと絶対入ってなきゃいけない一曲だと思う
8.STEP by STEP
一生懸命日々を生きるあなたに！
アイナ流、応援ソング。「やるぞ…！」というより、肩の力が抜けて「今日もやってやるかぁ」くらいに程よく元気にしてくれる
「日々」の次がこの曲ってのも胸が熱くなりませんか？
じゃれあう猫ちゃん 楽しげでいいな
ねえちょっと聞いてよ そんな暇ないか
行かなくちゃ！
全体的に言葉の選び方が独特で、歌詞カードだけ見ると一瞬判らないが、しっかり応援ソングになっている。そんなところも、お気に入りのポイントかもしれない
9.静的情夜
雨の夜のできごと
この曲を聴いたら、幼少の記憶が蘇った。雨がザラザラ降る夜の記憶
深夜起きてしまって、一人で寝るのが怖くて両親の部屋を訪ねた。そこに寝てるはずの二人がいなくて、家中探しても見つからなくて。外まで出たけど雨。とても長い時間に感じた。結局、仕事で遅くなった父を母が車で迎えに行っていただけだったのだけど。とにかく怖かったのを覚えている
そんな何でもない記憶だし、だから何だという感じですが…
雨の音って何か不思議な力がある気がする。この曲を聴いていてそんな風に思った
10.死にたい夜にかぎって
やっぱり好きだ
爪切男さん原作「死にたい夜にかぎって」のドラマ主題歌として書き下ろた曲
いやいやいや！「静的情夜」の雨音からの繋がり良すぎません！？ これだけ亀田誠治さんのアレンジじゃないんですが、まるでここに収まるために作られたかのような…収納上手か！
どうしようもない女を愛してしまった男の物語。原作は読んだことないけど、この一曲からだけでも感じ取れるレベルの溢れる愛。すごく優しい人なんだろうな…
どうしようもなく人間臭いんだけど、そこに美しさを感じた
人間ってやっぱり好きだ
11.サボテンガール
友だち、絶交、親友
こんな友だちがいるのが羨ましすぎる…。アイナさんも友だちも、お互いの気持ちを隠さずに正面からぶつかりあったんだろうな。そんな友だちいないぜ…
仲良く並んで夜道を意味もなく歩く。こんな素敵な関係あるかい？
すごく私的な歌詞だけど、共感する人も多いのではないだろうか。それはとても素晴らしいことです
自分が如何に殻に閉じこもっているか思い知らされた。薄情な人間なのかもしれない…笑
12.スイカ
スイカの種の気持ち
この歌聴くまで、考えたことがなかった。でも恐ろしいほどに解る、その気持ち
誰に気にされることもなく、吐き出され捨てられる。何なら鬱陶しがられる存在。何のために…誰のために…
そんな風に自分を思ってしまう人にこそ、聴いて欲しい
感性の死は私の死
じゃ無いからきっと 生きている
うるさい街並み 蹴飛ばした
自分をダメだと思うことって、しょっちゅうある。でもそれは結局思い込みだったりする。変化を恐れず、信じて生きたいと思った
アイナさんが、BiSHのオーディション時に歌ったらしく、ある意味彼女のスタートになったこの曲。それが1stアルバム「THE END」のラストに入ってるって、感慨深い
アルバムの「終わり」を飾るに相応しい、名曲だ
さいごに
まさに「THE END」な、アイナさんの始まりの作品になっていた！
そして、亀田さんのアレンジ。最高だ。曲の行きたがってる所に導く手腕
今からもうライブが楽しみだし、気が早すぎるけど2ndが待ち遠しい
もしかしたら、それは何年か先になるかもしれない。でも自分はいつまでも待てる
その日まで、しっかり生きていきたいと強く思った！
ここまで読んでくれて、ありがとうございます！
それでは、また！
